循環器疾患の詳細
<高血圧症>
高血圧は心血管系の危険因子として最も重要であり、放置すると脳卒中、心臓病、腎障害など心血管系の合併症をきたします。一旦、合併症をきたしますと生命の危険に及ぶか、それ程重篤でない場合も後遺障害を生じますが、それまでは通常無症状で経過します。このため日頃から健診などで自分の血圧を知るよう心がけ、高値の場合は、家庭血圧の測定、高血圧の原因診断(本態性か二次性かの区別)、脳、心臓、腎臓、動脈などの臓器障害の評価を行い、現在の病状を正確に把握した上で、治療方針を決定する必要があります。


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  • Q.どんな症状があるの?
    血圧が極端に高い場合を除けば、通常、症状はありません。従来、高血圧の症状として、頭痛、めまいなどがあげられていますが、多くの場合それらの症状は高血圧と関係ありません。

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    Q.血圧値いくらからが高血圧?
    わが国の基準では、診察時血圧で収縮期血圧(上の血圧)が140以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90以上の場合が高血圧です。たとえば、血圧156/76の方は、拡張期血圧は正常ですが、収縮期血圧が高いので、高血圧です。
    一方、心血管病に最もなりにくい血圧(至適血圧)は120/80未満です。高血圧と至適血圧の間で、収縮期血圧120〜139または拡張期血圧80〜89のかたは高血圧のかた程ではありませんが、至適血圧のかたより、心血管病の発症率が高いこと、および将来高血圧に移行しやすいことが分かっていますので注意が必要です。
    また、家庭血圧の基準は、診察室血圧より5低く、収縮期血圧が135以上、または拡張期血圧が85以上の場合が高血圧です。                                                                             
    以上が現在のわが国の基準ですが、米国では2017年、より厳格な基準に改訂され、収縮期血圧130以上または拡張期血圧80以上が高血圧とされました。これは同国で行われた大規模試験(SPRINT試験)において、従来の基準より厳密な降圧が望ましいことが明らかになったことなどを反映したものです。従来、高血圧の心血管系危険因子としての重要性は、欧米よりアジアのほうが大きいとされていますので、わが国でも近い将来より厳しい基準に改訂されるものと思われます。

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    Q.高血圧の原因は?
    本態性高血圧(生まれつきの素因+環境因子による高血圧)と腎性高血圧(腎実質性高血圧・腎血管性高血圧)、内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症・褐色細胞腫・甲状腺機能亢進症・クッシング症候群)、薬剤性高血圧などの二次性高血圧があります。
    なお最近の報告および当院の経験では、高血圧の5%程度は、原発性アルドステロン症によります。


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    Q.高血圧の危険度は血圧の値だけで決まるの?
    個々の患者さんの危険度は、血圧値、血圧値以外の危険因子および心血管病の有無・臓器障害の3つの因子により、低・中・高リスクの3群に分かれます。血圧値以外の危険因子には、高齢(65歳以上)、喫煙、糖尿病、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム、若年発症の心血管疾患の家族歴があります。また臓器障害としては、心臓、脳、腎臓、血管、眼底の障害があげられます。たとえば血圧値が142/80と高血圧の程度は軽い場合でも、3個以上の危険因子があるかた、または糖尿病、腎症害、心血管病のいずれかがあるかたは、高リスク群に該当し、綿密な治療が必要です。

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    Q.高血圧の原因や危険度、臓器障害により治療が変わるの?
    原因により治療が異なります。たとえば、原発性アルドステロン症では片側の副腎摘出手術またはアルドステロン拮抗薬内服が選択されます。
    また、リスクの程度により治療方針が異なります。たとえば、高リスク群に対しては、より厳密な降圧が必要であり、直ちに降圧薬を開始します。
    さらに、危険因子や臓器障害がある場合、それに応じて特定の降圧薬を積極的に選択します。たとえば、糖尿病、心不全、心筋梗塞、腎障害のいずれかがある場合、レニン・アンギオテンシン系阻害薬が推奨されています。


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    Q.日常生活の注意は?
    塩分制限、適度な運動(有酸素運動)が基本です。
    さらに野菜・果物の積極的摂取、適正体重の維持、過度な飲酒を控えること(日本酒で男性1合、女性0.5合まで)を心がけましょう。また喫煙は血圧を若干上げるだけでなく、心血管病の強力な危険因子です。

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    Q.家庭血圧を測る目的は?
    外来診察時は、白衣現象という一過性の昇圧現象が生じることがあります。また脳梗塞、心筋梗塞などの心血管発作は午前中に多発しますが、これは朝の急激な血圧上昇が一因です。
    そのため、診察室血圧のみで病状をしっかり把握することは困難であり、家庭血圧と併せて判断します。なお、家庭血圧の有用性は、診察室血圧のそれより大きく、診察室と家庭の血圧に差がある場合、家庭血圧を優先します。

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    Q.家庭血圧を測る時の注意点は?
    手首、指での測定は簡便ですが、精度が悪いため上腕での測定が推奨されています。できるだけ着衣を取り、2〜3分間の安静後、座位でカフを心臓の高さに保ち、朝起床後1時間以内(排尿後、食事の前)および就寝前に測ります。測定回数は1回だけでもよいですが、血圧値の変動が大きいかたは2回測り平均します。 1週間程連続して測り、自分の血圧が朝夕どちらで高いか分かれば、以後高いほうの時間帯のみでも結構です。一度は受診時に血圧計を持参し、医師の聴診による測定値と比較してみます。

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    Q.降圧薬の種類や合わせ方は?
    降圧薬にはレニン・アンギオテンシン系阻害薬(ACE阻害薬・アンギオテンシン拮抗薬など)、カルシウム拮抗薬、利尿薬(サイアザイド・アルドステロン拮抗薬)、交感神経遮断薬(α遮断薬・β遮断薬)があります。
    個々の患者さんの病状に合わせて、通常は単剤から開始し、降圧効果が不十分なら変更または他剤を追加します。


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    Q.治療の目標値は?
    従来のわが国の降圧目標値は、診察室血圧で通常140/90未満です。
    ただし、糖尿病・蛋白尿陽性の慢性腎臓病のかたは、130/80未満とより厳格です。
    また後期高齢者(75歳以上)のかたで、副作用などのため忍容性がない場合の目標値は、150/90未満です。
    家庭血圧の目標値は、診察室血圧の目標値より5低い値となります。
    通常は135/85未満、糖尿病・蛋白尿陽性の慢性腎臓病では125/75未満、後期高齢者で忍容性がない場合は、145/85未満です。
    以上が現在のわが国の降圧目標値ですが、米国では前項で記載しましたように、SPRINT試験で従来の基準よりより厳密な降圧が望ましいことが明らかになったことなどを反映して、夜間血圧の降圧目標値は110/65とする考えもあるようです。

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    Q.くすりの副作用は?
    くすりの副作用の多くは飲み始め6ヶ月以内に起こります。飲み始めは注意し、合わないと感じたら医師にご相談ください。長く同じくすりを飲み続けて大丈夫かと心配されるかたがありますが、長く飲んで副作用がないということはその方に合ったくすりであることを意味します。安心して服用ください。

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    Q.降圧薬 を飲みだしたら、ずっと続けないといけないの?
    生活習慣改善などにより、血圧が降圧目標値より低めで安定していれば、降圧薬を減量し、それでも良好なら、一旦中止できる場合があります。その際も、加齢などとともに再度血圧が上がることがありますので、家庭血圧の測定、定期的な受診が必要です。

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    Q.当院での診療の実際は?
    まず、病歴、診察所見、血液・尿、心電図、頸動脈・心エコー検査所見などに基づいて高血圧の原因診断および程度・危険因子・臓器障害の評価を行った後、治療方針を決定します。
    その結果、たとえば、低リスク群の本態性高血圧のかたであれば、生活習慣の是正で経過観察とし、効果が不十分の場合、降圧薬を追加します。
    降圧薬の選択に際しては、長期に無理なく服用できるよう、副作用がないこと、薬剤費がかさまないことにも注意しつつ、最善の処方を心掛けています。


  •  ほかにもいろいろご質問があると思います。受診時に気軽にお聞きいただければ幸いです。

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